2009年08月01日

第9回アンドリュー・ワイエス水彩、素描展&フォーラムを終えて

 さる4月11日〜26日に開催された丸沼芸術の森主催「第9回アンドリュー・ワイエス展&フォーラム」は盛会に終了いたしました。残念ながら、アンドリュー・ワイエス氏は今年1月16日に91歳で逝去されました。私たちは今回の展覧会を、彼を偲びその人生と画業を称え、「追悼〜ワイエスからの伝言〜」というテーマで追悼展として開催いたしました。参加して下さった58名のボランティアの皆様がすべての活動の中心になり、心温まる味わい深い展覧会となりました。来観者は1000人を超え、多くの方がワイエスを偲び、作品をご堪能されたように思います。今年も全国各地から多数の来観者に恵まれました。

 9回目となる今年は、丸沼芸術の森で最後のワイエス展ということになりました。 展示室では、代表須崎勝茂が厳選したワイエスの水彩・素描30点が展示され、ボランティアによる作品の説明も頻繁に行われました。展示は習作から本画に至る過程が解かる配置がなされており、  「画家の筆致が克明に表現され、魂までも感じられる」など、観覧者のコメントが多く寄せられました。

 メインイベントであるフォーラムが4月18,19の両日開催されました。講演に先立ち、フルート奏者の須崎成美さんが、ワイエスが好きだったバッハの曲を演奏され、静寂な雰囲気の中で清らかなフルートの音色がワイエスへのレクイエムのようでした。
初日の講演では丸沼芸術の森代表、須崎勝茂がこれまでの芸術支援活動とワイエス氏との出会い、ワイエスコレクションに寄せる想いを語りました。またワイエス担当中村音代は、「ワイエスの世界に導かれて」というテーマで、須崎と共にワイエスコレクションに携わってきた9年間を振返り、その後アメリカで催されたワイエス追悼展の様子を紹介しました。

 2日目は愛知県美術館美術課長、高橋秀治氏による講演「感動が絵になるとき」が行われ、ワイエス研究者としての立場から、画家の創造の道程を豊富な情報をもとに講義されました。作品が生まれた現地を取材し、ワイエス夫妻との交流から実現した単独インタビューなど貴重な映像が紹介されました。また、昨年Bunkamura ザ・ミュージアムから始まったワイエス巡回展で初めて公開されたワイエス家の作品について話され大変好評を得ました。

 両日共、講演に続き3種別にワークショップが行われました。ワイエスの技法(水彩画、テンペラ画について)を研究しようというテーマは毎年人気が集まりますが、特に今年はメルヘンタッチの絵で知られるイラストレーター内田新哉氏による実技指導「ワイエスの気分で描こう!」が行われ、≪パイ用のブルーベリー習作≫の模写やテンペラ画についての丁寧な講義が行われ、現役の画家の講義とあって大変な人気でした。
 また高橋秀治氏のワークショップ「メイン州とペンシルベニア州―作品の背景を探る」では作品の詳しい分析と質疑応答の場が設けられました。中村音代のワークショップ「あなたと語りたいワイエス論」では各自のワイエス観を語り合う対話の場が設けられ、参加者の方々のワイエスに対する想いの深さを知ることが出来ました。

 この展覧会を通して、印象深いことが多々ありました。フォーラムへ参加するために岡山県から飛行機で日帰りされた方や都合がつかず当日参加できないのでとお手紙を書いてくださった方、ワイエスへの追悼の気持ちを模写に託してお持ちになった方など例年よりもワイエスに深い想いを寄せていらっしゃる方が多かったように感じました。中には初回から参加しているという方もおられて、「自分の画風が段々ワイエスの絵に似てきて、今ではワイエスのエキスパートだ!」と仰っていたのが印象的でした.
毎年、このフォーラムのスタッフは主に美術学生たちが担当しました。丸沼芸術の森というユニークな場所でワイエスを深く知る催しに携わった経験が、彼らの将来に役立つようにと願っています。

 美術を学ぶ人々や学生たちがワイエスの素描、習作に感動され、丸沼コレクションの質の高さに驚かれていたこと。また、「丸沼芸術の森という自然の空間で、ワイエスの作品と展覧会を支える人々の優しさに癒された」というアンケートのコメントなどがありました。子供たちには豊かな感性が育ち、大人には安らぎの場となるように」、これがまさに須崎が目指したものでした。そしてボランティアの皆様もその意思に賛同し、ワイエスという画家を深く知り、自己啓発しつつ楽しい時を共に過ごし、手作りのワイエス展を最後まで貫き通すことができたことは本当に素晴らしいことでした。これはお互いを思いやり、協力し合った結果に他なりません。

ワイエス展&フォーラムの最終回、第10回目は2010年埼玉県立近代美術館で開催の予定です。ワイエスコレクション238点すべてを公開する予定です。皆様とともにワイエスの世界を共有できますよう願っております。

最後に、丸沼芸術の森ワイエス展へわざわざご来訪くださった方々、さまざまな形でご協力くださったボランティアの皆様、そしてこの展覧会の開催に対して深い理解を示し、ご支援いただきました諸機関の皆様に深く感謝申しあげます。
丸沼芸術の森代表 須崎勝茂
ワイエス担当   中村音代
posted by blueberry at 12:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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