7/16(土)から愛知県豊橋市美術博物館でアンドリュー・ワイエス水彩素描展「息づく風景、オルソンハウスの物語」が開催中。
初日には米国からワイエスの専属修復家ーローレン・レイ・ルイス氏が「私が知る、アンドリュー・ワイエスを魅了したもの」という記念講演がありました。ご本人がモデルにもなったことがあり、ワイエスの制作を4日間観察できたという貴重な体験や、専門家としての視点から技法についての詳しい解説は大変興味深く、新たなワイエスの魅力を知ることとなりました。
この展覧会では、ワイエスが約30年間描き続けた北米メイン州のオルソンハウスとそこに暮らした姉弟がモチーフになっていて、画家が瞬間を描きとめる技法という素描と水彩115点は観る者を惹きつけます。
第5展示室には水彩画ー「オルソン家の墓地」と素描ー「クリスティーナの墓」が展示されています。この二つの絵は後に大変興味深いエピソードを生み出しました。ワイエスは自身をオルソン家の墓地に埋葬して欲しいという遺言を残したのです。それを受け、息子ジェイミー・ワイエスが父の墓標を絵に描かれた墓標とそっくりにオルソンハウスが見える位置に建立しました。その理由をジェイミーワイエスが次のように語っていました。「メイン州で見られる古い墓標が父の好みだと知っていたので同じものにしました」
ワイエスの魂が感じられるこの展覧会を是非ご堪能頂きたいと存じます。